スタッフブログ

2025年7月11日

歯周病って治るの??

こんにちは!長野県松本市浅間温泉にあるとどろき歯科医院 歯科医師の小林です。

本日は歯周病のお話です。

若い頃には感じなかった歯ぐきの不調。歯ぐきが腫れる、歯ぐきから血や膿が出る。

歯がぐらつく。

食べ物を力いっぱい噛めない。

そのような症状は歯周病が原因かもしれません。

 

歯周病とは皆さんがよく聞いたことのある疾患だと思います。

日本人の歯を失う原因の第1位となっていて、日本歯周病学会の調べでは、45歳から54歳では50%の人が罹患していると言われています。

今回は患者さんからよくご質問いただく、「歯周病は治るのか」という問題に向き合っていきたいと思います。

 

結論から言うと「初期の歯周病なら治すことができます。ただし進行した場合は“完治”というより、これ以上の進行を食い止めるための“コントロール”が必要です」というのが、私たち歯科医療従事者のリアルな答えです。

 

今回は歯周病の進行段階ごとにどこまで治せるのか、治療の内容、そして日々のケアで気をつけたいポイントなどをお話しします。

 

◆「そもそも歯周病ってどんな病気?」◆

歯周病とは、歯ぐき(歯肉)や、歯を支えている骨(歯槽骨)が細菌感染によって破壊されていく疾患です。

重度に進行すると、最終的には歯がグラグラになって抜けてしまうこともあります。

主な原因はプラーク(歯垢)の中にいる歯周病菌で、この歯周病菌が歯と歯ぐきの間の歯周ポケットに入り込み、炎症を起こします。

恐ろしいことに歯周病菌が作り出す毒素、炎症反応性物質などが血管を通じて全身に巡ることで、心臓病や糖尿病、脳梗塞などの全身疾患のリスクも高まるといわれています。

また、歯周病菌のなかには、誤嚥により気管支から肺にたどり着くものもあり、誤嚥性肺炎を引き起こす原因となることが分かっています。

さらに、最近では歯周病と肥満やメタボリックシンドロームとの関連も注目されています。

 

次に歯周病の段階(ステージ)についてご説明します。

それぞれの段階(ステージ)でどこまで回復できるのかを詳しく見ていきましょう。

 

①歯肉炎(初期の歯周病)

この段階なら日ごろの歯みがき(プラークコントロール)を徹底することで、健康な歯ぐきに戻すことができます。

歯ぐきが赤く腫れたり、歯みがきの時に出血したりすることがありますが、歯を支えている骨にはまだ影響がない状態です。

この時点で気づいて、毎日のブラッシングや歯科医院でのクリーニングを受ければ、元の健康な歯ぐきの状態に戻すことは可能です。

 

②軽度~中等度の歯周炎

歯を支えている骨が少しずつ失われていきます。この段階では、失われた骨は自然には戻りませんが、治療によってそれ以上の進行をくい止めることが可能です。

歯科医院でのブラッシング指導の後歯石除去したり、虫歯になったり適合が悪くなって汚れが溜まりやすくなってしまった歯の詰め物や被せ物をやり替える治療をしたり、噛み合わせの治療などを行い、口腔衛生口腔状態を改善し炎症のコントロールを目指します。

その結果として歯周病の進行を防止することが出来ます。

定期的なメンテナンスを続けることで、状態を安定させ、将来的な抜歯を防ぐこともできます。

 

③重度の歯周炎

この段階になると治癒を目指すより歯を温存し口腔機能の低下を防ぐことが大切となります。

歯周治療により、改善はできるが完治は困難になります。

この段階になってしまうと、歯を支える骨が大きく失われ、歯がグラグラしてくることもあります。

ここまで進行すると、炎症を抑えることはできても、歯ぐきや骨を「元の状態に戻す」ことは難しくなります。

場合によっては、外科的な処置(歯周外科や再生療法)や抜歯が必要なケースも出てきます。

歯を失ってしまった場合は、そのままにせず欠損した部分を補う治療を行い、残っている歯に負担がかからないようにしていきます。

多数の歯を失ってしまうと入れ歯(義歯)による治療が必要になります。

入れ歯になると以前と同じように美味しくお食事が出来なくなったり、活舌が悪くなりコミュニケーション取りにくくなるなどQOL(生活の質)が低下してしまうことがあります。

ただし、適切な治療とセルフケアを続けることで、歯を長く保つことも十分可能ですので継続して歯科医院を受診しメインテナンスを受けることをお勧めします。

 

 

 

また最近では歯周病と糖尿病は密接に関係していることが分かっています。

糖尿病に罹患されている患者さんは、さらに歯周病の治療において注意が必要です。

糖尿病と歯周病は仲がよく、因果関係が立証されています。

糖尿病の治療のために食事管理や運動、投薬治療を行っていても、歯周病の治療がきちんとされていないと、糖尿病の数値が改善していきづらくなります。

反対に、毎日のセルフケアや歯医者さんでの歯周治療を頑張って行っていても、糖尿病のコントロールがうまくできていないと、歯周病の治療が思うように進みづらいということがあります。

このように歯周病と糖尿病、両方ともに治療に取り組む必要があります。

 

その他にも妊婦さんに起こりやすい、妊婦性歯肉炎という疾患もあります。

妊娠中は女性ホルモンの分泌が活発になるため、この女性ホルモンのことが大好きな細菌が増えてしまうと歯肉炎になりやすくなりますので注意が必要です。

 

歯周病は歯科医院での治療と、患者さん自身の毎日のケアの役割分担があってこそ、改善・安定につながります。ご自身でのお手入れの方法など、丁寧に説明を致します。

また、自分はまだ大丈夫と思っている方も歯科医院で歯ぐきの検査等の歯周病のチェックを行い、よい状態を保てるように一緒にケアを続けていきましょう。

 

歯周病は「年をとったら誰でもなるもの」ではありません。日々のケア次第で、ずっと健康な歯と歯ぐきを守ることができます。

「もう治らないかも…」とあきらめる前に、まずは歯科医院で相談してみてください。

お口の中の状態に合わせた、最適なケア方法を一緒に見つけていきましょう!

 

☆☆とどろき歯科医院はお子さんの虫歯治療のみではなく、口腔機能発達不全症や歯並びのご相談も随時受け付けております。また、小さなお子さんを歯医者嫌いにさせない取り組みとして、”4歳以下のお子様はひざ上診療”を実施しています!☆☆
気になる方はお気軽にご相談ください。

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