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歯の移植は可能なの??
こんにちは。長野県松本市浅間温泉にあるとどろき歯科医院 歯科医師の小林です。
現在の医療では臓器移植という方法が可能となっており、肝臓や腎臓さらには眼球や心臓まで移植することが可能になってきました。
歯科治療においても同様に進歩しています。
虫歯の進行が大きかったり、歯が割れてしまったりして残念ながら歯を抜かなければならなくなってしまったらどうしますか?
そのときに残っている 自分の使っていない歯を代わりに使うことができたらいいなと思いませんか?
それこそが歯の移植という方法です。
しかし、本当に歯を移植するなんてことはできるのでしょうか?
答えは、条件が揃えば歯を移植することが可能です。
予知性の高い治療として、現在ではよく行われているインプラント治療があります。
このインプラント治療と比較すれば、予知性は劣るものになります。
しかし、インプラント治療は、歯を抜いてインプラント体を入れて人工の歯を作るのに対して、移植は歯を抜いたところに、自身の歯を用いることができます。
インプラント治療が行われるよりも前から、歯の移植という方法は行われてきました。
また、歯の移植術は保険が効く治療になります。
全ての歯に適用することではなく、歯の大きさや形、歯が植わっている骨の壊れ方の大きにより移植が可能かどうかも決まります。
一般的には奥歯を抜いた後、親知らずを抜いた場所に持ってくる方法で行います。
歯の移植の方法はいくつかありますが、当院ではまず抜かなければならなくなった歯を抜歯し、その1ヶ月〜2ヶ月後に移植に使う歯を抜歯し、同日に移植を行います。
移植を行った歯はそのままではすぐに抜けてしまうので、隣の歯とセメントやワイヤーを用いて固定をします。固定は傷の治りを見ながら1ヶ月から3ヶ月行います。
この期間は移植した歯では物を噛まないように気をつけましょう。
1ヶ月ほどして周囲と移植歯が少しずつくっついてきたところで、移植した歯の根っこの治療をしていきます。
移植歯は一度抜いてから移植するため、基本的には移植後に歯の神経の治療が必要となります。歯の神経が死んでしまっていることが多いので、削っても痛くない場合が多いです。
移植歯の根っこの治療が終わった後、移植後1ヶ月から3ヶ月で少しずつ隣の歯と固定してあるセメントを取っていきます。
移植後は定期的にレントゲンを取り、周囲の骨との間に感染や骨が溶けたりしていないかを確認します。
経過が良好であれば被せ物を作っていく流れになります。
歯の移植を行う際には、当院では事前に歯の CTを撮影して現在の状態を3次元的に細かく確認をして精密な検査をします。
抜かなくてはいけなくなった歯の根っこ周りの骨の壊れ具合や残り具合、骨の形を確認します。
同時に、移植に使う歯の形や大きさ、周りの骨の状態などを確認します。
移植に用いる予定の歯ですが、全ての歯が移植の適用になるわけではありません。
虫歯で大きく壊れていたり、歯の根が割れてしまっている歯は移植に適していません。
キレイな状態の歯であっても、根っこが開いている場合や、根っこが肥大して膨らんでいる場合は、簡単にきれいに抜くことができないため、歯を割って抜かなければなりません。
このような歯は移植に適していません。
また12歳臼歯に引っかかっているような親知らずは、同様にまっすぐ抜くことができず、歯を割って抜くため移植には適していません。
移植後に起こることとして、
前回の親知らずの抜歯の記事でもお話ししましたが、親知らずを抜いた場合、親知らずの抜歯で周囲の骨を削ったり歯茎を切開している場合は、術後に痛みや腫れが生じることがあります。
また親知らずが下歯槽管に接していると術後にしびれが生じることがあります。
術後のお手入れが不足してしまうと、歯周病で移植した歯の周りの歯茎に炎症を起こすことがあります。場合によっては周りの骨が溶けてしまい、せっかく移植した歯を抜かなければならないことがあります。
歯の移植を行った場合は、特にお手入れが大切となります。 移植した歯の周りに感染が起きたり骨が溶けたりしてこないように、 セルフメンテナンスと定期的な歯科医院でのメンテナンスを行いお口の管理を行っていきます。
患者さんの全身疾患や年齢によっても移植の成功率は変わります。
特に糖尿病の治療をしている患者さんは感染に弱いため、術後に歯周病菌の感染を起こしやすく、移植歯がうまくくっついてくれないことがあります。
50歳以上で年齢が上がってくると骨が硬くなるため、移植する歯を抜く際に歯を割って抜く必要があったりと、きれいに抜けない場合があります。
また、年齢が上がるにつれて歯の移植に重要な歯の根っこの周りの組織が薄くなってくるため、移植後に親知らずがくっついてくれない可能性が高くなります。
抜歯後の欠損を補う治療にはインプラント、ブリッジ、入れ歯を検討することが多いですが、若い人や周囲の骨の状態が大きく壊れてない場合、歯の移植術も選択肢となることを覚えておいてください。
ワントライとして歯の移植を検討してみるのもいいと思います。
お気軽にご相談ください。
☆☆とどろき歯科医院はお子さんの虫歯治療のみではなく、口腔機能発達不全症や歯並びのご相談も随時受け付けております。また、小さなお子さんを歯医者嫌いにさせない取り組みとして、”4歳以下のお子様はひざ上診療”を実施しています!☆☆
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