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2025年6月10日

親知らずの豆知識

こんにちは。長野県松本市浅間温泉にあるとどろき歯科医院 歯科医師の小林です。

16歳頃から20代前半ごろ、今まで一番後ろの歯だった12歳臼歯の後ろからモコモコと歯が生えてきました。親知らずです。親知らずの名前の由来は諸説ありますが、昔はこの歯が生えてくるころには親は亡くなっていたので親知らずと呼ばれたことや、 親が子どもの歯の手入れをしなくなる年齢になって生えてくることなどから、そう呼ばれるようになりました。

疲れたりすると一番奥の歯の周りの歯茎が腫れて痛くなる。

奥歯に虫歯がないのに歯や歯茎が痛い。

それは親知らずが悪さをしている可能性があります。

ひどいときは歯茎が大きく腫れ、顔まで腫れて入院が必要になってしまうこともあります。

親知らずが痛くなる原因としては、一番奥にあって磨きにくいためプラークなどの汚れがたまり、そこから虫歯が進んでしまったことにより痛みがでることがあります。また、磨きにくく汚れがたまりやすいため、歯茎にばい菌が入り歯茎が腫れてしまう場合や上の親知らずが生えてきて下の親知らずがまだ生えていない場合、上の親知らずが下の歯肉を噛んでしまい痛みが出る場合などもあります。

親知らずが痛くなったという言葉をよく耳にしますが、きちんとお手入れができていれば親知らず単独で悪さをすることはあまりありません。多くの場合は、清掃不良による親知らず周囲の歯茎の炎症が原因です。

 

親知らずは生え方によって炎症を起こしやすいかどうかも決まってきます。歯の頭が全て出ていれば歯ブラシも届きやすいため、きちんとお手入れができていれば歯茎の炎症を抑えることができます。親知らずが歯茎から完全に出ていない場合、歯と歯茎の間に汚れがたまり炎症を起こしやすい状態となります。

親知らずは年齢が上がってから生えてくる場合もあります。12歳臼歯に引っかかって生えてこない場合、完全に骨の中にいてそのまま生えてこない場合、もともと親知らずが無い場合など様々です。何度も腫れを繰り返すようならば、親知らずの抜歯を含めて治療の検討をします。

 

ただし親知らずの抜歯が怖いな、心配だなという方は少なくないと思います。

親知らずの抜歯は、生えているか埋まっているかで難易度は変わります。

また上の親知らずか下の親知らずかでも抜くときの難しさは変わってきます。

年齢が上がると骨が硬くなるため抜くのに時間がかかることがあり、反対に若い方は骨に柔軟性があるためすんなりと抜けることがあります。完全に生えている上の親知らずを抜歯することは比較的簡単に行うことが多いです。

抜く時は親知らずに器具をかけ抜いていきます。術後の痛みもそれほど強くなく、腫れも大きくないことが通常です。

下の親知らずも、完全に生えている場合は器具をかけて抜ける場合が多いですが、親知らずの根っこが曲がっている場合などは歯を割って抜く方法があります。また歯の根っこの曲がりが強い場合や、骨が硬い場合などは周囲の骨を削って抜く方法があります。

歯茎に埋まっている親知らずは、歯茎を切開して抜く方法が一般的です。また周囲の骨も削ることが多いため、抜いた後に痛みや腫れを生じる場合があります。全く腫れない人もいれば、大きく腫れてしまう方もいます。

 

難しい抜歯としては、親知らずが横に向いていて、手前の12歳臼歯に引っかかっている場合です。まっすぐに抜くことはできないため、親知らずを割って抜きます。

 

次に親知らずの抜歯で起こり得るリスクについてご説明します。 

上の親知らずを抜く場合は上顎洞という副鼻腔に親知らずの根っこが接している、もしくは入っている場合があります。

その場合親知らずを抜き終わった後に空気が鼻に漏れる感じがあったり、水を飲むと鼻に水が入ってくる感じがあることがあります。

大抵は数日から1ヶ月程度で自然に抜いた穴がふさがり花の症状はなくなることが多いですが、副鼻腔との交通の穴が大きかったりすると鼻の症状が続く場合があります。

 

下の親知らずを抜く場合、下顎の中には下歯槽管(かしそうかん)と呼ばれる大きな神経と血管の管が通っていて、下の親知らずの根っこが下歯槽管に接している場合があります。

その場合、歯を抜いた後に唇や歯茎、顎の皮膚に麻酔が聞いているようなしびれが残ることがあります。このしびれは神経との触り方によってすぐに治る場合もあれば長く残ることもあります。

 

抜歯後の治り方としては、通常は2ヶ月ほどでへこんだ歯茎がなだらかになって治っていきます。

この2ヶ月間は抜いた穴に食べた物が挟まりやすいですが、気にしすぎてつまようじなどでつついたりすると傷の治りを悪くしてしまうので、歯ブラシやブクブクうがいで対応しましょう。

だんだん歯茎のへこみが治ってきて気にならなくなってきます。骨がなだらかに治るまでには3ヶ月から半年かかることが多いです。

 

当院では安全のため、抜歯の前にはCTを撮影することが多いです。様々な角度から親知らずの位置を確認し、抜歯の難しさや抜歯後のリスクを事前に把握し説明をしています。

全身疾患があったり、困難な抜歯が想定される場合は、大学病院などの口腔外科へ紹介致します。

 

親知らずの抜歯の際は緊張している方もほとんどですが、優しく声掛けをしながら抜歯を行いますのでご安心下さい。

また親知らずの周りに炎症が起きたとしても、メンテナンスで症状を抑えることも可能であるため、悩んでいる方はお気軽にご相談ください。

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